夜叉姫のタイトルについて思うこと|ひとりがたり ⋮ 犬夜叉 / 半妖の夜叉姫

思うところがあり過ぎる、オリジナルシリーズの『半妖の夜叉姫』。色々引っかかる所がありすぎるのだけど、最初から引っかかっている点の一つが『半妖の夜叉姫』っていうタイトル・ネーミング。名前は大切なんだよ… 。

 

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そもそも 夜叉姫の「夜叉」ってどこからきたの?

古代インド神話とかの鬼神から直接きたのなら、一旦置いとこう。(彼女らが「夜叉」なのかは不明だけど。)けど、もしも犬夜叉の夜叉からとってきたのなら、そのネーミングは短絡的というか、特に殺生丸の娘であるせつな・とわにはちょっと合わないのでは…?

キャラクターの名前付けについて、確か「犬夜叉」は割とすんなり決まった方だったと留美子先生が仰っていたと記憶している。「犬夜叉は、"犬" で "夜叉" だな!」といったこともコメントされていた。(多分 原画全集で見たこのコメント、なんだか印象的で覚えている)

だからなんだという訳ではないのかもしれないけど、犬で夜叉の犬夜叉の名前は 名前の由来やそれが形作ってきたものとかも全部ひっくるめて犬夜叉のもので。もしも万が一、そういったものとの繋がりをあまり考えずに響きだけで犬夜叉から「夜叉」をとってきたなら、なんだかなぁ〜…… と アニメ「半妖の夜叉姫」制作発表時点で もやもやしたんだよね。あのアニメ製作陣なら、「犬夜叉」と同じ響きをもつ「夜叉姫」は きっといい名付けだと思ったんだろうな…。商業的に『犬夜叉』とも関連付けやすいだろうし。

このもやもや、単なる商材としてではなく 『犬夜叉』のキャラクターや背景なんかもきちんと受け継いだ上でのネーミングだ、と アニメ夜叉姫のストーリーやキャラクターを通して思えれば、本来なくなっていたもやもやだと思うんだけど、アニメ夜叉姫がいかんせん……。

 

夜叉姫の「姫」の方は、「王の娘」ってこと?

単語の選択としては、まぁ、「姫」が選ばれるのは分からなくもない。王と呼ぶに値する大妖怪の血をひく娘達、ということで、姫なのかなぁ。

殺生丸( ※ 漫画『犬夜叉』における殺生丸様)はまさしくそうした大妖怪に位置付けられるだろうし、なんかアニメ夜叉姫でも「獣王」とかいう設定を与えられたとかなんとかだし。(「獣王」とは……。)犬夜叉は半妖ではあるけれど、その実力は大妖怪とならぶ、いやそれ以上のもの。犬夜叉が半妖だから「大妖怪」にカウントしない場合でも、まぁ殺生丸犬夜叉の父が大妖怪だから、せつな・とわ・もろはが大妖怪の血をひく娘達、という点では筋が通っている。のかな…?

アニメ夜叉姫の対象視聴者というかターゲット層が いまいちよく分からなくなってきているけど、「『犬夜叉』を知らない今のこども達・女の子でも楽しめるような作品に(したい)」みたいな文章を見たことあるような気がしていて、それが本当ならば「姫」という単語が選択肢にあがるのも必然なんだろうな。

だけど!「王」に位置付けられるであろう父達(殺生丸犬夜叉)と「姫」であるはずのせつな・とわ・もろはの描かれ方の方に色々ツッコみたくなる…っ。王の品格・姫の品格が……、それはまた別の話題になりかねないので割愛。

 

「半妖の」って枕詞

わざわざタイトルにつけている程なのに、「半妖であること」で何か物語が動いただろうか。麒麟丸を倒すのが半妖と予言された点以外、半妖であることが特に影響していないような。(未視聴回では何か影響しているのかな… アニメ公式発表の予告・あらすじや 各所の解説・感想を見る限りは未視聴回でも影響していないと思うけど。)

半妖であることの葛藤、苦悩、困難を乗り越えていく過程や成長なんかを、犬夜叉があんなにも色濃く見せてくれているのにな。半妖 / 四半妖であるアニメ夜叉姫の主人公達にもおとずれるだろう苦悩や困難があまり感じられないんだよね…

「妖力を失う日」についても かなりあけっぴろげで唖然としちゃったな。命の危険があるんだよ?!半妖はその日を他の者に悟られないようにしているんだよ?!?! 半妖が妖力を失う日に関しては、『犬夜叉』という作品における基本的な設定だと思うんだけど、勘違いや解釈違いというよりも 『犬夜叉』という作品をきちんと読んで把握しなかったのかも…というレベルの描写で。あ、あと髪の毛が伸びる設定ってなんなんだろう。笑

犬夜叉がそうだったように、半妖の親が大妖怪だった場合は妖怪の血に半妖である身が耐えきれず妖怪化してしまうことがあると思うんだけど、それについては何かあったかな…? 殺生丸は父を超えた訳だから父以上の大妖怪なわけで、犬夜叉に与えられた初期鉄砕牙みたいな守り刀も持っていないならば、とわ・せつなは(特に戦国時代を生きるせつな)は物語が始まる以前に妖怪化していてもおかしくないのでは? 作中で妖怪化したことは、あったはあったみたいだけど、なんかそのきっかけとかが…あれ……???

もろはに関しては 四半妖だけどやっぱり犬夜叉の血を継いでしるから多分妖怪化の懸念はあるはずなんだけど、かごめが妖力を封じたとかなんとかの設定があるらしくてちょっとよく分からず。この辺の設定についてまた分かったら考えよう〜。

四半妖と言えば、もろはは「半」じゃなくて4分の1だよね、四半妖って単語も四半妖が半妖に含められるっていう言葉の定義もこのアニメが作ったのかな?と思っていたら、四半妖って言葉はアニメ夜叉姫が言い出したっぽいけど、そもそも妖怪と人間の間に生まれた存在を「半妖」と呼びだしたのが『犬夜叉』が最初、という説もあるらしい。『犬夜叉』以前にも 伝承や物語にはそうした存在やそれに準ずる存在はいたけど、事象に名前をつけるって本当にすごいな留美子先生…! そうとなれば、アニメ夜叉姫は「半妖」という設定をもっと大事にした脚本・作品にしてほしかった…!

 

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作中における夜叉姫の名付け親(?)時代樹の精霊

余談。物語上で せつな・とわ・もろはを「夜叉姫」呼び しだしたのって、桔梗の姿を模した時代樹の精霊(だったはず)。本当の桔梗ではないんだけど、なんかもう桔梗に重要そうなことを言わせたかっただけでは…?(本当の桔梗なら 犬夜叉と共通するような呼び方を犬夜叉以外には安易に使わない気がしている。)時代樹の精霊は何をもってあの3人を「夜叉姫」と呼んだのかな。もしかして、アニメ夜叉姫のエピソード内で由来とか喋っていた???

時代樹の精霊をわざわざ桔梗の姿や声にしたの、アニメスタッフが単に桔梗を出したかったのと桔梗ファンを引っ張ってきたかっただけじゃ…なんて邪推してしまう。アニメ犬夜叉には制作サイドにも視聴者サイドにも桔梗推しや犬桔過激派がそこそこの規模でいる印象を持っていることによる偏見かもだけど。こんな形で桔梗を引っ張り出してほしくなかったな…。

そもそも 時代樹っていう概念がアニメ・劇場版シリーズ用のオリジナル設定だと整理している。とりあえず、桔梗の姿声をした時代樹の精霊に夜叉姫と呼ばせることで、「夜叉姫」というのを定着させたかったのかな。視聴者側には まぁ定着しただろうけど(タイトルでもあるしそりゃ定着するか…)、現在の作中の世界では夜叉姫呼びって定着しているのだろうか……

 

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う〜ん、夜叉姫というネーミングについて、ずっともやもやしているんだけど、アニメ夜叉姫か夜叉姫コミカライズを最初から最後まできちんと見たらもうちょっと腹落ちするのかな。初めの頃は タイミングが合わなくて見る事ができなくなって、時間的にも気持ちの整理的にも落ち着いたらまとめて見るつもりだったのに、最近では全然違う理由でなかなか見ることに踏ん切りがつかない……  漫画『犬夜叉』の登場人物を使ったりしているから気にはなるけど、知れば知るほど "not for me" なだけでなく、漫画『犬夜叉』を本当にリスペクトしているの……?と思ってしまう……。 誰かの感想とか考察みたら夜叉姫呼びについても なるほど、となるのかな〜 何かの折に探してみようかな……。

 

 

「半妖の夜叉姫」というネーミングに対するもやもやが ずっと残っている、という 一人語り。おしまい!