誰かの影でいるんじゃなくて自分の影を受け入れる|私はシャドウ(粕谷紀子 作)

 

web広告でよく見かけません?

私はシャドウ』って漫画。

 

私が 誰のシャドウなのか、どんなシャドウなのか、何の為のシャドウなのか。物語が進むにつれて変化していく。

 

その変化が 共感できる部分もあり心に刺さる部分でもあり 面白さもあり。web広告から想像した ただの不倫制裁スカッと漫画じゃなかった!

 

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ちょっと前まで なぜかよく広告で見かけていて、本当によく見かけていて、漫画の存在を認識して気になってしまっていた漫画。アプリ(マンガMee) で読めることを知ったので早速読みすすめ、ついに最終話まで読み切った。ので、読後の頭の中をつらつらと。

 

いやほんと、物は試し と 読み始めてみて よかった!

このエンディングを見るために最初から最後まで読んでいたと言ってもいいくらい、結末がよかった!というか これは最初からずっと読んだからこそこの結末の良さが身にしみるんだと思う。(もちろん結末だけじゃなくて途中の展開も面白い〜!)

 

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タイトルにもなっている「私はシャドウ」に関する台詞は 最終話だけじゃなくて作中でも何回か登場しているけど、登場する度に込められた意味が違っている。違ってきた過程もこの漫画の魅力なんだろうな。

 

最初に「シャドウ」っていう単語が登場したのは 確か芹菜が友人の山田に 旦那・ふみ君に依存している生活を揶揄された時。

シャドウ・ワーカー だと言われていたっけ。光がないと影は出来ないけど、ふみ君という光の影の中で安心しきって、もしもふみ君がいなくなればたちまち指針を失ってしまうような、自我がないように見られていた芹菜。

 

次は 芹菜が変装した姿でふみ君に言った時かな?たぶん。ここでは はっきりと「私はあなたのシャドウ」だと伝えていたと思う。さりげなくピンチから守ってくれているような芹菜に対して ふみ君が 君はだれ、的なこと聞いた時だったかな。

でもこれ、最初 友人に言われた意味とは違っているよね。影ながら見守っている、影だから常に見ている、みたいな感じかな…   依存して影の中で安心していた芹菜じゃなくて大事な人を守る強さを身につけてきた芹菜を感じる。

物語もかなり盛り上がってきていた所だし、むしろ ここでタイトルの伏線回収した!!!って思っていたんだけどね…。

 

最後が 最終話の最後の台詞。芹菜の独白。

 

「人の心には 光も影もある

  その間を揺れながら生きていくものだから

  あなたは光の中を生きればいい

  私がすべてを包み込んで守ってあげる

  私はシャドウ

(『私はシャドウ』6巻 / 粕谷紀子/ 集英社文庫

 

不器用で疑う事を知らない…というか疑う事を放棄してすぐ他人を信じる芹菜だったけど、元々持っていた大事なものを見つめる強さ一途さに気付いて 大事にできる方法も身につけた芹菜の "山田" の姿での独白。今までの 芹菜の成長?変化?を見てきたからこそなおさらグッとくる台詞。

 

でもこれ、誰に向けた台詞なんだろう。

 

最初ぱら〜っと読んだ時は 陣内に向けてなのかなと思ったんだよね。陣内も 人をそうそう信じられなくなるくらい過去に色々あったし 色々危険な橋を渡ってきたし。唯男や涼音さんとのことを思うと後を追いかねないんじゃないかと思わせる描写もあったり 「でもこの世に繋ぎ止めているのは」みたいなセリフもあったりで 揺れ動く部分があるし。今の芹菜は大事なものや人を守れると思うし。

 

でもこれ、陣内に向けてだけなのかな?

これはやっぱり芹菜自身にも向けられているんじゃないかな。

 

だって 今の芹奈は自分の欲しいものも分かっているし貪欲になることも知ったし、何より自分自身も大切にすることができるようになっている。いくら愛しているからって陣内 "だけ" のシャドウにはならないんじゃないかな。一歩間違うと今までのシャドウ発言とも近しくなっちゃいそうじゃないかなぁ…。

敢えて "山田" の姿が描かれているのも、芹菜自身の 多面性を表しているんじゃないかなぁ。芹菜自身、自分の中にいろんな性質や感情があることに気付いて受け入れているわけだし。

 

愛しい人のだけのためじゃなくて、自分のためにも "シャドウ" になることができるようになった。初めは 誰かの光の影でしかなかったけれど、幻であっても綺麗なものしか見ようとしていなかった節もあったけれど。自分自身の中にある光と影、どちらかに偏ることなく受け入れて、ありたい姿になるために、欲しいものを素直に手に入れるために、守りたいものを守るために、光にも影にもなれるようになった。

 

そんな芹菜の物語に引き込まれたのかな。

最初からスーパーウーマンだったわけじゃない芹菜が光と影を受け入れていく様に。

 

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本当にこの漫画は 読み進めるほどにハマってびっくり。

序盤とweb広告の切り取り方の影響で  不倫した夫と不倫相手をドロドロの後にスカッと制裁する漫画…?と思いきや、夫の会社で巻き起こっている陰謀に立ち向かい、そこから色々な伏線が繋がって ついには 過去に因縁のある毒物売人と命懸けで対峙するようになるとは…!サスペンスあり恋愛あり友情あり人間ドラマあり成長ありな展開!

 

最初のエピソードや 芹菜を含めた登場人物の自己中心的な感じから序盤はハマらない人もいるかもだけど、そこはぐっと堪えて 読み進めると面白くなると思う…!

 

とりあえず、明日からまた 2周目する予定。

 

私はシャドウ コミック 1-6巻セット (集英社文庫)

私はシャドウ コミック 1-6巻セット (集英社文庫)

  • 作者:粕谷 紀子
  • 発売日: 2011/09/23
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

#私はシャドウ   #漫画